新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験の結果、ウイルスを攻撃する「中和抗体」が増えたと、開発を進める米製薬大手ファイザーなどが発表した。英科学誌ネイチャーに12日、論文が掲載された。今回の結果は臨床試験の初期段階で、ファイザーは約3万人を対象とする最終段階の試験に着手している。
ファイザーと独製薬企業ビオンテックは、共同でウイルスの遺伝情報を使ったワクチンの開発を進める。初期段階の臨床試験は18~55歳の健康な45人が対象で、ワクチンを接種した人の血液中にウイルスを攻撃して感染を防ぐ中和抗体が増えたことを確認した。抗体の量は新型コロナに感染して回復した人が持つ量の1・9~4・6倍だった。
一方、一部の人で、軽度から中程度の頭痛や疲労など一時的な副作用も見られたとしている。
東京農工大の水谷哲也教授(ウイルス学)は「体の中でどれだけ抗体が増えればウイルスを防げるのかはまだ分かっていないが、回復した人よりも多くの抗体を持っていたことは評価できる。最終の試験結果に期待したい」と話している。
ワクチン開発を巡っては、英製薬大手アストラゼネカや米バイオ企業モデルナなども最終の臨床試験に進んでおり、大詰めを迎えている。