米下院に「GAFA規制法案」提出 市場支配の是正狙う

Time:2021-06-16Department:

【ワシントン=塩原永久】米議会下院の超党派の議員グループが11日、アマゾン・コムやグーグルなど「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる米IT大手4社への規制を強化する独占禁止法(反トラスト法)改正案を提出した。IT大手による市場支配を弱めるべきだとして、各社の事業分割も視野に入れた是正策に道を開く内容。法改正が実現すればGAFAの事業環境に逆風になるとみられる。

 

下院司法委員会の反トラスト小委員会が昨年10月、事業分割などを提言した報告書を公表した。同小委の主要メンバーらが、報告書の内容に沿って計5本の関連法案を提出した。

 

ただし報告書は、政府の規制強化に否定的な共和党議員から強い反発を受けた経緯があり、改正案が成立するかは不透明だ。

 

法案を作った議員らは、声明で「巨大IT企業が握る独占的な力を打ち砕く狙いがある」と指摘した。

 

改正案は実質的にグーグルとアマゾン、フェイスブック、アップルの4社を対象にした。各社が運営するネット通販市場やアプリ販売市場などのプラットフォームで、自社製品を優遇する行為を禁止。法案の作成者は、市場に出品する外部企業を不利に扱う「利益相反」が生じやすい事業構造を問題視しており、将来的には、独禁法の規制当局が事業分割を求めることが可能になるとみられる。

 

IT大手下院が新興企業を買収し、将来の競争の芽を摘んでいるとの批判があり、改正案は競合企業に対する買収を難しくした。消費者が利用するサービスを、GAFAのものから他社に切り替える際、自分のデータを他社に移転しやすくする法案も提出された。

 

全米でグーグルやフェイスブックなどに対する独禁法違反の訴訟が相次いでいる。改正案の提出は、巨大IT企業への米政界の根強い不信を鮮明にしている。

 

産経新聞